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伊予弁 その1

「~ぞな」

「~ぞ」「~だぞ」という言い方よりも、「~よ」「~だよ」という方が柔らかい表現になりますよね。
「~ぞな」は、「~よ」「~だよ」という意味になります。
「~ぞ」「~だぞ」という場合は、「~ぞ」と表現します。

たとえば、「これは、おいしい」ということを伝える場合、
「これは、うまいぞ」あるいは「これは、うまいぞな」となります。
今風に言えば、「これは、おいしいぞ」「これは、おいしいよ」という感じでしょうか。

これをさらに丁寧に言おうとすると、「ぞな」の後ろに「もし」を付けます。
「これは、うまいぞなもし」という感じです。
今風に言えば、「これは、おいしいですよ」という感じだと思います。

ちなみに「もし」は、元は「もうし」という呼びかけの言葉で、「もしもし」という意味です。


「~けん」「~やけん」「~じゃけん」

いずれも「~だから」という意味です。
愛媛では、最もポピュラーな表現と言えるでしょう。

たとえば、「これは、おいしいから」という場合、「これ、うまいけん」とか「これ、うまいんじゃけん」となります。


「ほう」「ほれ」

伊予弁では、「そ」が「ほ」に変わります。
たとえば、「そうだ」というのは、「ほうじゃ」となります。
「それ」は「ほれ」になります。
「それなら」は「ほんなら」
「その」は「ほの」になります。
「そうですか」は「ほうかな」
「そうだから」は「ほじゃけん」


「おいでる」

「行く」「来る」「いる」という意味です。
同じ「おいでる」でも、使う状況によって、意味が変わって来ます。
漢字で書くと、「お出る」となります。

「こちらへ、おいでますか」は、「こちらへ来られますか」の意味です。
「向こうへ、おいでますか」は、「向こうへ行かれますか」の意味です。
「お父さん、おいでますか」は、「お父さん、いらっしゃいますか」の意味です。

「~していらっしゃいます」と言う場合も、「~しておいでる」と言います。


「つい」

「同じ」「似ている」「そっくり」という意味です。
漢字で書くと、「対」となるようです。
つまり、英語で言うところの、ペアのイメージでしょうか。
二つのものを、並べて見比べている感じです。

「この柄とそっちの柄、同じだね」は、「この柄とそっちの柄、対じゃね」です。

「本当にそっくりだね」は、「真っ対じゃね」になります。

でも、何でもかんでも、同じという表現に、「つい」を使うわけではありません。
「同じ」がなまった、「おんなし」という表現もあります。

他にも、こんな表現があります。

「同じ顔」は、「ついな顔」
「全く同じ顔」は、「まっつくついな顔」
「先生にそっくり」は、「先生に変わらん」
「旦那に似ている」は、「旦那に似ちょる」

「同じ物」という時は、「ついなが」と言います。

「ぼくは、メロンパンにしよ」
「じゃあ、あたしもついながにしよわい」
という感じです。

ちなみに、「~しよわい」は男言葉のようですが、伊予では女性も普通に使います。


「ぎり」

「~だけ」「~ばかり」という意味です。
たとえば、「文句ばっかり言って」というのは、「文句ぎり言うてからに」となります。

「残っているのは、これだけだよ」は、「残っとるんは、これぎりぞなもし」となります。

「~ばかし」という言い方もあります。

「嘘ばかりついてはいけません」は、「嘘ばかしついたらいけんよ」 となります。