> 松山城 その7

松山城 その7

内門うちもんから女の声が聞こえ、進之丞と千鶴は声を追いかけます。

奥の内門から進之丞と千鶴が走って来ます。
女は手前の仕切門しきりもんから外曲輪そとぐるわへ逃げました。

女は向こうの天神櫓てんじんやぐらの前まで行って、そこで進之丞たちに背を向けたまま立ち止まります。

進之丞たちが追いつくと、般若の面をかぶった女が振り返ります。
つや子や三津子を名乗る、その女の正体は天邪鬼でした。

鬼に変化へんげした進之丞と天邪鬼は、この外曲輪で争います。

天邪鬼は鬼をからかいながら外曲輪を駆け回ります。

また、天邪鬼はやもりのように、大天守の石垣や壁を這い上ります。

鬼と天邪鬼が争っている間に、千鶴は井上教諭を天神櫓の陰へ移動させようとします。
ところが……

天邪鬼に襲われた千鶴をかばって、ここで井上教諭は倒れます。

ついに天邪鬼を捕らえた鬼は、天邪鬼を握り潰したあと、この二ノ門と三ノ門の間の壁に、天邪鬼を投げつけます。

瀕死の状態ながら、尚も生に執着した天邪鬼は、ずるずると這って、この二ノ門から逃げようとします。
門の向こうは下り階段になっており、やがて天邪鬼の姿は見えなくなります。

二ノ門からの階段を這い下りた天邪鬼は、一ノ門を入って来た警官たちと、ここで遭遇します。
天邪鬼を目にした警官たちは、恐怖で大騒ぎになります。

二ノ門の方から警官たちの声が聞こえ、もう逃げられないと千鶴は覚悟を決めます。

鬼は千鶴を抱きかかえると、二ノ門とは反対側にある土塀を振り返ります。

天神櫓の脇にある土塀を、鬼は千鶴を抱いたまま飛び越えました。

土塀の向こう側です。
ここへ飛び降りた鬼と千鶴は、この場所で新たな人物に出会でくわすことになります。
それは千鶴の祖父、甚右衛門でした。